いより通信:タイムリーな社会保険情報・助成金情報労務相談事例などを発信中!
自社の社員を守る―カスタマーハラスメントへの対応
みなさん、こんにちは。
社労士の井寄です。
寒い日が続きますが
お元気でお過ごしでしょうか。
年度末を目の前にして、11月頃から
ずっと就業規則の改定作業に従事しています。
今年も育児介護休業法の改正があり
育児介護休業規定の改定に加え
人材確保が難しい昨今の情勢を踏まえて
休暇制度や、各種手当、旅費規程の見直しなどを
される会社様も多く、相当な作業量となっています。
何かあったときに、就業規則が整備されていないと
さらにトラブルの解決が困難になるため
細かいところまでチェックさせていただいております。
さて、年末以降、放送局の元社員とタレントとの間で
発生したとされるトラブルに関し
元社員から相談を受けたとされる放送局の対応が
問題視されています。
パワーハラスメント防止が法制化された時点で
取引先、顧客、利用者など、社外の人との関係で
発生するハラスメント行為に対し企業が
どう対応すべきか議論がなされてきました。
厚生労働省は、令和2年1月に、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした
言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
(令和2年厚生労働省告示第5号)が策定し、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、
不当な要求等の著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)に関して、
事業主は、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や
被害者への配慮の取組を行うことが望ましい旨、
また、被害を防止するための取組を行うことが有効である旨を定めました。
参考)厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル
わが国では、労働施策推進法等において「職場のハラスメント」という枠組みで
企業内での予防、相談窓口の設置、加害者であることが確定した場合は
就業規則による懲戒処分の実施や人事上の措置をとるという規制を
とっていることから、加害者が社外である場合の対応をどう法規制の中で
枠づけるのかが困難であり、上記指針においても「望ましい」という言葉を
使い、企業の自主的な取り組みと意識改革を促してきたという経緯があります。
今回の騒動がきっかけで法規制の強化という流れになることでしょう。
すでにNHKもその旨の報道をしています。
労働時間上限規制においても、ある事件がきっかけで一気に
法規制が進んだことを思い出しました。
自社でのカスタマーハラスメント防止対策の
取組を進める必要があります。
2月給与の注意事項
1)2025年4月1日より育児・介護休業法が改正になります。
子の看護休暇の拡充、小学校就学前までの子を養育する労働者への所定外労働の制限拡大
40歳到達労働者に対する介護休業制度に関する情報提供等が義務付けられます。
就業規則の改定等を進めましょう。
参考)厚生労働省 育児・介護休業法改正ポイント
2)2025年4月1日以降、1歳を超える育児休業延長をした際の雇用保険からの給付金受給の
要件が厳格化されます。
参考)厚生労働省 育児休業給付金支給対象期間の延長手続きの変更
今月の気づき
いより通信が今月で240号になりました。満20年間毎月続けることができました。
「配信」と書きましたが、当初は名刺交換などさせていただいた方に
FAXで送信しておりました!(←時代を感じる)
その後、事務所のwebサイトを立ち上げたときに、サイト内にページを設けて
メルマガで情報更新がなされたことをお知らせする方式とし、今に至ります。
コロナ禍前くらいから、ひとつのアドレスから大量配信するメールを
「迷惑メール」と自動判断されてしまうことも増えましたが
毎月、メルマガのご感想を寄せてくださる方もあり
「書いていてよかったな」と元気をいただいております。
12年ほど前に、お客様のお役に立てる存在であり続けるためには
正確な知識を得て、法的に問題を捉える思考回路が必要だと考え
大学院での学び直しを始めました。
今年こそ大学院生活のGOALを皆さまにお伝えできることを目標に
日々精進を重ねたいと思います。
今後とも応援いただければうれしいです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
(2025年02月発行)