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いより通信 vol.234 (2024年08月号)

指導者側の「当たり前」を疑う

みなさん、こんにちは。
社会保険労務士の井寄です。

本当に暑い日が続きます。
先日、「マウンテンドクター」というドラマを観ていて
紫外線がお肌だけではなく目にもよくないことを知り
外を歩く時のアイテムとして、日傘に加えて、サングラスも
仲間入りさせました。

折しも、コロナ第11波が来ているということで
電車に乗る時や人が多い場所にいくときは
マスク着用を再開したため
サングラス+マスクで怪しい人のようになっています。

しばらくマスクから離れていたことと
この暑さで、本当につらいですが
コロナに罹らない記録を伸ばすために
マスク+手洗いうがい+健康保持に努めたいと思います。

さて、先日、「新入社員に電話応対を命じたところ
会社に来なくなった」というご相談を受けました。

我々、幼少のころから、自宅電話の対応をしていた世代とは異なり
今の若者は、携帯世代で、自分宛の電話しか対応していません。

他人宛の電話を「相手の名前・用件を聞いて」
「相手に依頼された人に取り次ぐ」の2段階が
難しいと感じるようです。

弊所の場合であれば、ご契約があるお客様(知っていてる人+対応必要)
もしくは、セールスの電話(知らない人+対応不要)しかかかってきません。

ただ、「知らない人」が必ずしも対応不要ではなく
取材・講演の依頼や新規のお客様からの問い合わせなど、
「知らない人+対応必要」のパターンもあり、
新しく入所したスタッフはそこで戸惑うようです。

長く勤務していると、ご契約があるお客様の会社名や担当者様のお名前
私が不在のときに、自分で対応できる内容なのか、私に対応を委ねるのか
などの判断ができるようになります。

ただ、慣れるまでは、「ご契約がある会社様」なのかどうか
(リストで確認できますが、会社名が聞き取れないケースもある)
会社名だけ聞けばよいのか
担当者の名前まで聞かなければならないのか、などの
戸惑いが生じるようです。

そうしたケースでは、「お客様の会社名と担当者を
全員覚えてください」と伝えることになるでしょう。

ただし、経験が浅い新入社員で、他にも覚えることがありすぎて
いっぱいいっぱいだった場合、指図する側からすると
「これくらい当たり前」のことだったとしても
相手にとっては想定以上に大きな負担となっているケースもあります。

自分が指示したときに、想定していた結果を得られず
「あれっ」と思うことがあったときは
相手を責めるのではなく
なぜ自分が想定していた結果に至らなかったのか
「自分の当たり前」を土台にして指示をだしていなかったかを
考えてみる必要があります。

指導する側が「これくらいはわかっているだろう」
「こんなことくらい誰でもできる」と考えないよう
注意しなければなりません。

よい事例かどうかわかりませんが
地下鉄のホームで、人の動線を考えずに立ち止まる外国人を見て、
「なぜここで立ち止まるのか」とムカっとすることは
ありませんでしょうか(私だけ??)

我々は、通勤・通学ラッシュの中、狭いホームで
自分も他人も線路に落ちないようにどう行動すればよいか
中高生、少なくとも社会人になってからは身につけているわけです。

それを経験していない人はどう行動すればよいのか
わからなくて当たり前なのです。

電話の件に話を戻すと、今は電話でのやりとり自体が減っているため、
余計に経験値を積むことができなくなっていることもあるでしょう。

いずれにせよ、自分にとっての当たり前は他人にとっても当たり前
ではないことを改めて認識することです。

ホームでの外国人の立ち止まりの件は、やり過ごせばよいですが
同じ職場で働く仲間は、やり過ごすことはできません。
自分が欲しい結果を得るためには、指導する側の自分が伝え方を
工夫する必要があると言えるでしょう。

8月給与の注意事項

1)令和6年 地域別最低賃金の目安が示されました。今年はすべての地域で50円アップが予定されているようです。

 厚生労働省「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」

 

2)令和6年10月1日以降、社会保険(厚生年金、健康保険)に加入する労働者が51名以上
(過去12か月で6か月以上51名以上の被保険者がいたことが要件)の会社について
短時間労働者の社会保険の加入要件が
「週20時間以上の勤務」「月8万8千円以上の賃金」「学生ではない」
「2ヶ月以上の雇用」の4つの要件を満たす場合となります。
(4つの要件を満たす場合は強制加入)

10月1日以降、短時間労働者への適用拡大の対象となる場合は
9月頃に年金事務所から通知がくる予定です。

日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内

3)令和6年年末調整において、変更を予定している年末調整書類について
国税庁から「事前の情報提供」がなされています。

国税庁 変更を予定している年末調整関係書類(事前の情報提供)

実務担当者としては、年末までに定額減税が引ききれなかった労働者への
具体的対応を知りたいところですが、9月下旬に令和6年年末調整の全容が明らかになるようです。

 

今月の気づき

今年も何度目かの博士論文チャレンジの季節がやってきました。
いや、季節は関係なく書き続けなければならないのですが、
「11月末 大学への提出期限」から逆算すると
「10月末 指導教官への完成原稿の提出」
「9月末、おおよそ完成」というスケジュールとなり、
そこに間に合わせるためにはお盆休みをどう使うかが、
大きなポイントとなります。

昨年は、スタッフの補充が上手くいかず、
お盆休みも実務対応でいっぱいいっぱいとなり
早々に提出をあきらめました。
準備は進めていたので、深い「絶望感」を味わいました。

今年はあの気持ちを味わうことがないよう、
着々と準備を進めたいと考えています。

長くやりすぎて、今まで書いたものをどう使うかなどのモヤモヤも抱えています。
ただ、新しく書いたものを中心にして、グイグイ押していきたいと考えています。
「これが問題点」と自分で考えることはできるのですが、
「それを解消するためにどうすべきか」、という大事なところで、
知識の欠如、法の読みこなしが完全ではないという
「能力不足」の壁にブチあたっています。

できないことを悔やまず、自分の力を出し切る形で進めます。
それでだめなら、能力不足として受け入れます。

論文強化月間を前に、人間ドックを受診してきました。
身体的には問題なしとのお墨つきをいただきましたので
あとはやるだけです。

(2024年08月発行)

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