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カスタマーハラスメントに対する取り組み
みなさん、こんにちは。
社労士の井寄です。
大阪ではあっという間に桜が開花しました。
先日まで寒い日があったのに、急に春です。
とはいえ、肌寒い日や雨が降る日があり
「お花見日和」という感じではありません。
直近2年のコロナ禍で「お花見」というイベントは
過去の遺物になってしまったのかもしれません。
昨年、一昨年と同じように、ひとりでひっそり
桜を楽しんでいます。
さて、2022年4月1日から中小企業を含めた
すべての企業対して、パワーハラスメント防止措置を
とることが義務付けられます。
大企業については、2020年6月施行で先に措置義務が
スタートしています。
法施行に際し、厚生労働省は、セクハラも含めた
職場でのハラスメント防止のために事業主がやるべきことを
まとめた資料を公表しています。
ざっくり言うと、会社は「職場で」(←事業主が管理できる場所、労働者に対して)
ハラスメント行為が起こらないように、周知・啓発をし
相談窓口を設置し、実際にハラスメントが発生した場合には
適切な対応(事実確認と事実が確認できた場合は懲戒処分や人事異動などで対応)を
する、がやるべきことです。
ただし、ハラスメント問題は、実は社内だけで発生するものではなく
例えば、取引先関係者や顧客、さらには就活学生との間でも生じ得ます。
自社の雇用する労働者が加害者になる場合もありますし
逆に被害者になる場合もあります。
会社に防止措置義務が課されている「パワーハラスメント」の中に
こうした社外の関係者との間のハラスメント行為(カスタマーハラスメントと
言われています)は、厳密には含まれません。
ただし、現実問題として、社外関係者からのハラスメント行為に
悩んでいる労働者が一定程度あることが厚生労働省の調査でも
明らかになっています。
会社として、自社内のパワハラ防止の周知・啓発と同時に
取引先・顧客・就活学生などに対するハラスメント行為の禁止と
取引先・顧客からハラスメント行為を受けた場合には、会社の相談窓口で
対応した上で、取引先等に対し、事実関係の調査の協力を求める等
問題の共有をし、再発防止のためのアクションを行うことが努力義務として
明示されており、カスタマーハラスメント対策の企業マニュアルが公表されています。
パワハラの中ににカスタマーハラスメントをを含むかどうかについては
法制化前に示された「パワーハラスメント防止対策についての検討委員会報告書」
においても、自社の雇用する労働者に対する対応ではないため
同じ扱いは難しいとされています
ただし、「他者に対して著しい迷惑行為をしてはいけない」と
いう社会的認識を形成していくことが重要であり、「やってはならないこと」
「会社として少なくとも自社の雇用する労働者がそうした行為をしないように
周知・啓発するべきであること」を伝えていくことが重要であるという結論にいたり
厚生労働省も積極的にアピールしているのだと考えられます。
ハラスメント問題については、自社内の出来事であっても
双方の言い分が異なるなど、事実関係の特定が容易ではない
ケースが多くあります。
ましてや他社との関係となると、取引先や顧客に対し
会社としてどこまで協力を求めることができるかどうかも
難しい点はありますが、いより通信3月号にも書きましたように
法律で禁止されているから云々ではなく
各自が「人としてどうすべきか」を考えることができると
ハラスメント自体がなくなるのでは・・と考える次第です。
人によって受け止め方が異なりますので
いずれにせよ難しい問題だと考えます。
ハラスメントと捉えられるような「指導・叱責」や「クレーム」も
そもそもそれらが発生した原因と、「クレーム」を言ってきた人が
受けた損害も考慮すべきであり、「言うべきことが言えない」のも
おかしな方向に進んでしまうのでは、と考える次第です。
4月給与の注意事項
1)労働保険料の申告の準備をはじめましょう。令和4年度の雇用保険料率は年度途中である令和4年10月1日から変更になります。
すなわち、概算保険料の申告の際に雇用保険料については半期ごとに分けて計算する必要が生じます。
(来年の確定保険料申告の際も同じ)
今月の気づき
3月は、お付き合いが始まって15年になる士業の勉強会での発表担当が当たっていたり、大学のゼミでの論文の中間報告があったり
就業規則改正のご対応があったり、あっと言う間に1ヶ月が過ぎていきました。
さらに中旬以降は、京都で大学生として独り暮らしをしていた息子の部屋の引っ越し
(ひとまず自宅に荷物を入れました)と
4月からの勤務先が東京に急遽決まったため、
3月28日に物件を決め、4月3日に転居、4月4日から勤務開始、
というスペクタルな年度末を過ごす羽目になりました。
物件の内覧は私も同行しました。たまたま、労働法学会で出向いたことがある大学の近く
かつ、編集者さんたちと何度も飲み会をしたことがある場所でしたので
道案内役として向かいました。
東京の家賃の高さに驚き、関西で暮らしていてよかったと心から思いました。
息子・・どうなることやらわかりませんが
私が経験できなかった、「東京での就労」がんばってもらいたいと思います。
(2022年04月発行)