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「人」としての行動基準
みなさん、こんにちは。
社労士の井寄です。
年度末が近づきお忙しくされているのでは
ないでしょうか。
我々社労士は、2022年4月1日施行の改正育児・介護休業法および
労働施策総合推進法に規定されたパワハラ防止の措置義務の実施(中小企業)の
対応で忙しくしています。
ただでさえ、コロナ禍が長引き、小学校コロナ助成金の対応
陽性者となり、欠勤された従業員さんの傷病手当金申請等
通常業務以外を抱えている中で、時間的に相当きついです。
コロナ陽性者の傷病手当金申請に関する問い合わせは
一人のスタッフがほぼ専任で受けていますが、
何度も何度も同じことを聞かれるので大変そうです。
さて、年末あたりからバタバタと、
ハラスメント防止研修のご依頼を受けております。
毎回おなじことを話していると自分が飽きるので
依頼されるごとに、バージョンアップをしております。
コロナ禍で受講者にディスカッションをしていただく時間を
取ることができず、一方通行で「ハラスメントとは」等
お話することになります。
お客様からのご要望で
ハラスメントの具体例などお伝えする際に
いつも、モヤモヤしていました。
裁判で、この言動はハラスメントだとされたものを
紹介することが多いですが、物事には流れがあり
一部の言葉や行動だけを切り取って紹介しても
意味があるのか・・と。
また、例示することで、それ以外の言葉や行動であれば
ハラスメントではないと誤解を与える危険性があります。
どこからがハラスメントなのか線引きを知りたいという
ご質問をいただくことも多くあります。
研修では、「指導」と「ハラスメント」の違いを
お伝えしますが、本来、その線引きは、具体例でされるものではなく
場面場面に応じて、各自が持つ「良心」にしたがって
発した言葉や行動であるのかで判断されるものであると考えるのです。
「人の嫌がることは言わない」
「悪いことをしたときは素直に謝る」
「助けてもらったときは感謝の気持ちを口に出す」
「人の話をきちんと聞く」
「相手のことを慮る」
など、対人関係の基本的な姿勢を守っていれば
そもそも「ハラスメント」など生じえないと考えるのです。
「会社がハラスメント禁止と言うからそうした言動は慎む」んでしょうか。
「会社が外食禁止というから飲食店には行かない」んでしょうか。
家族がコロナ陽性となり、自分も少し調子が悪いと思うときに
「会社が出勤するなするなというから休む」んでしょうか。
会社が言うから、やってはいけないことではないんです。
自分で判断して「ダメ」だという判断をしないといけないんです。
経営者側も同じです。
同じフロアで勤務している従業員が人間関係の軋轢で
辛そうにしている。しかし、上司からの指導は適正だ。
ハラスメントではないので、そのまま放置する、でよいのでしょうか。
目の前のいる従業員が辛そうにしているのであれば
声をかける、上司にも話を聞く、指導方法や担当業務が
あっているかなど確認するなど、「人」として
やるべきことがあるのではないでしょうか。
法律で細かいところ(そもそも白黒がつけにくいところ)まで
規制をすすめればすすめるほど、法律を守ることだけに一所懸命になり
そのことは「法律に抵触しなければよい」という考えにもつながることを
強く懸念しています。
法律を守ることはもちろん大切ですが、その前に
人としてどうあるべきか、自分の良心にしたがった行動基準を
しっかり持つべきだと考える次第です。
***【追記】 ****
敬愛する作家 平野啓一郎さんが
ロシアのウクライナ侵攻に際し フェイスブックにアップされた言葉です。
人を殺してはいけない、戦争をしてはいけない、といった、この世界の根本的な原則が揺らぐ時には、
市民一人一人が声を発し、書き、言葉を通じてその原則を確認し合わなければならない。
さもなくば、具体的な破壊だけでなく、原則そのものが破壊されていってしまう。
***
職場においても「人を傷つけてはいけない」「威圧的な行動をとってはいけない」等は
職場における根本的な原則だと考えています。
それらを放置することは、原則そのものの崩壊につながり
良心に基づく行動基準が持てない人の集団となってしまうことを
懸念しています。
3月給与の注意事項
1)協会けんぽ 令和4年3月分(4月徴収分)からの保険料が公表されています。
2)令和4年4月1日より、妊娠・出産を予定している従業員(配偶者の出産を含む)に対し、
育児休業等に関する制度の説明と取得予定の確認をする必要が生じます。
制度利用に関する相談窓口の設置も必要です。
3)令和4年4月1日より、中小企業についても、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置をとることが義務付けられます。
パワハラ防止に対する従業員への啓蒙活動および相談窓口の設置が必要になります。
会社として、ハラスメント防止および発生した場合の迅速な対応ができるよう準備を整えましょう
今月の気づき
2022年になり、あっという間に2か月が経過しました。
やるべきことが多すぎてあっぷあっぷ状態です。
先日も、数年前によく原稿を書かせていただいていた雑誌の編集者さんから
執筆のご依頼をいいただいたのですが、大学の発表の期日とかぶってしまい
お断りせざるを得ない状況になりました。
私は今後もずっと書く仕事を続けたいと考えています。
ですので、お仕事の依頼を断るというのは
どうなんだ、という葛藤がすごくありました。
ただ、大学の先生にも相当時間を割いてご指導いただいており
自分が使える時間と処理能力を考えると今回はお断りせざるを得ませんでした。
ああああ、残念です。
商業出版の世界にも戻りたいです。
ただ、「始めたことを終える」という
自分としての「人としてどう生きるか」を全うするため
論文はなんとか終わらせたいと考えています。
論文は書き始めると楽しいのですが、知りたいことが多すぎて
無駄な時間をかけてしまい前になかなか進めないのが難点です。
不要なことをバサバサ切り捨てられる自分だとよいのですが・・
「仕事」の場合、効率をすごく考えるんですが(相手があるからですね)
「研究」となると、わかってないのに書くのはどうなのかと
無駄に深堀しすぎて、先生にも、私のあとに博士課程に入ってきて
私より先に修了した年下の先輩にも呆れられています。
博士論文完成に向けて私に一番足りないのは「割り切り」であると
7年目突入でやっと気づきました。早く終わらせます。
終わらせるためには書きすすめます。
(2022年03月発行)