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緊急事態宣言下での労務管理
みなさん、こんにちは。
社労士の井寄です。
新型コロナウイルス感染症拡大防止策が引き続きとられています。
5月6日まで我慢すればなんとかなるのか・・と考えていましたが
緊急事態宣言が解除になる望みは薄そうです。
この1ヵ月、顧問先のお客様より緊急事態宣言下での
労務管理について、日々様々なご相談をいただきました。
1日4時間、電話をしていた日もあります。
その他メールでのお問い合わせにも対応していると
あっという間に1日が過ぎる感じでした。
ご相談のパターンとしては大きく2つ
①緊急事態宣言をうけて休業せざるを得ない場合の従業員の取扱い
②業種・業態の関係で、営業を続けなければならない場合の従業員への対処
です。
①のケースで、従業員に休んでもらう場合、労働基準法26条に定める
休業手当の支給要件である「会社の責めに帰すべき事由による休業」なのかどうかは
議論があるところですが、会社側も従業員の生活は守らねばという意識が強く
私のお客様は80%から100%の賃金補償とされるところが多かったです。
これらの企業については、雇用調整助成金の申請が可能ですので
(生産規模要件等を満たす必要はあります)
現在、受給に向けて書類の準備をすすめているところです。
雇用調整助成金nについては4月10日以降、数回にわたって
支給要領が変更になっていますので,都度厚生労働省のページを
確認するようにしてくださいね。
②の従業員を出勤させなければならない会社さんについては
罹患者が出たとき、また本人に症状がなくとも濃厚接触者となった場合の
対応についてのご相談が多かったです。
幸い、「仮定」レベルのご相談ばかりでしたが
従業員が罹患してしまった場合は、
通常の傷病休暇(有給もしくは欠勤、病気休暇など)になりますが、
一緒に業務をしていたなど感染の可能性がある従業員を自宅待機に
させることはできるか、またその場合の給料をどうするのか、のご相談が多くありました。
感染の可能性があるとしても、発症していない限り、
労務の提供は可能であるため、感染拡大防止という社会的要請に応えるために、
自宅待機を命じること自体は問題ないと考えますが、
その場合は会社は少なくとも休業手当の支払い義務は逃れません。
在宅勤務として給料は100%支払うとされる会社が多いようです。
人との接触をへ減らすことが感染リスクを減らすとされていますので
出勤せざるを得ない業種・業態の場合、
会社でマスクやアルコール消毒液を準備する、
時差出勤をさせるさせる、
遠方から通勤する従業員について会社の近くに社宅を準備する、
会議室などに人を分散させて、作業をさせる等の配慮はされているようでした。
もちろん、可能な限り在宅勤務をさせたり、交替勤務とされているところも多くあります。
ただ、既に在宅勤務を進めていた企業は別ですが、急に始めたところは
オペレーションがうまくいかず、通常よりパフォーマンスが落ちているとする
声も多く聞きました。
連休まではなんとか我慢しようと考えていた企業が
連休明けどういう動きとなるのか、感染拡大防止が第一ですが
経済活動の低迷で企業の命がなくなることを懸念しています。
5月給与の注意事項
1)4月の休業に対し、雇用調整助成金の申請を考えている場合は、
休業中の出勤簿の整備(休業・出勤・公休・有休がわかるようにする)と
休業手当の支払いがわかるように賃金台帳の整備をすすめましょう
2)7月10日期限の令和元年度労働保険料の申告の準備を始めましょう。
(労働保険料の納付については一定の要件を満たせば猶予措置をうけることができます)
3)厚生年金保険料および国税についても一定の要件を満たす場合は納付猶予の措置があります。
○厚生年金保険料納付猶予措置(日本年金機構)
○国税納付猶予措置(財務省)
4)新型コロナウイルス感染症により影響をうける事業者向けの支援政策をまとめたもの
今月の気づき
4月に入ってから、人との接触95%カットを目指して
面談は差し控えとし、各種会合や食事会は軒並みキャンセルと
なっていました。
一時期トイレットペーパーの買い占め等もあり
先行きを不安に感じていたときもありましたが
今は、大阪は感染者数が減っていることもあり
少し心が落ち着いています。
今も外食は控えていますが、こんな状況でも営業を
続けてくださるお店の少しでも支援をさせていただればと
考え、テイクアウトの利用を最近は積極的にしています。
我々の業種も在宅勤務の対応が可能だと考えますが
うちの事務所は対応ができていなかったため
出勤日を減らした上で、出勤を続けてもらっている状況です。
大型商業施設にテナントを出されているお客様など
本当に大変な状況ですし、営業を続けておられる業態のお客様も
様々なご不安やご不自由を抱えておられ、
こうしたときこそ、お客様のお役に立たねばとがんばりすぎて
先週は少しバテてました。
ただ、全国で活躍している同業者の仲間との情報交換をしたり
お互いはげましあったり、時にはお菓子などいただいたり贈ったりで
元気をもらっています。
まずはお客様の力になること。そして落ち着いたらまた仲間と
集まって盛大に慰労会をやることを楽しみに5月もがんばります。
(2020年05月発行)