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新型肺炎に対する企業の対応
みなさん、こんにちは。
社労士の井寄です。
昨年末に中国で発生した新型肺炎が
日本でも広まっています。
世界保健機関(WHO)も新型肺炎の拡大リスクを
2月末には「非常に高い」に引き上げました。
日本のみならず世界規模での拡大が懸念されています。
日本政府も、3月1日からの全国の小・中・高に対して
一斉休校を命じ、大学においても卒業式・入学式の
取り止めを決めたところが多くあります。
企業に対しては、時差出勤および在宅勤務の導入、
可能であれば「疾病休暇」等の付与が奨励されていますが
すべての業種・業態で対応できるとは限りません。
人と人との接触が感染を広げることになるため
できるだけ人と接触しないことが感染の拡大を
防ぐために最も効果的であることは否めませんが
年度末でもあり、経済を止めることで
企業の命である資金繰りが苦しくなるところもでてきます。
急に一斉休校になったことで
給食業者や材料を納める業者に大きな影響がでています。
出張や会議の取り止めにより、貸し会議室、ホテル
飲食店もキャンセルが相次いでいます。
融資要件の緩和や、労働者に休業手当(平均賃金の6割以上)を
支払って休業させた会社に対して雇用調整助成金の支給をすることなどが
決定しています。
*参考)経済産業省 「新型コロナウィルス感染症で影響を受ける事業者のみなさまへ」
(令和2年2月2月28日版)
なお、雇用調整助成金についても、上記に記載されている内容から
対象事業業種が拡大になっています。
詳細は厚生労働のホームページで都度ご確認ください。
(3月1日現在 最新の情報はアップデートされていません)
現時点では令和2年2月25日に厚生労働省が示した
「新型コロナウィルス感染症対策の基本方針」に基づいた
行動を従業員に対し促すようにしてください。
不要不急の出張や会議はできるだけ避けることや
時差出勤については、比較的取り入れやすい項目だと考えますので
自社でできることから、始めるようにしてください。
なお、法務省より、今回の新型肺炎に関連して
当初予定していた時期に定時株主総会が開催できない
場合の取扱いについての取扱いが示されていますので
ご参考にになさってください。
参考)法務省「定時株主総会の開催について」(令和2年3月1日現在)
3月給与の注意事項
1)2019年4月1日以降に付与した年次有給休暇について年5日の消化が進んでいるかどうか確認しましょう
2)新型肺炎に関連して欠勤せざるを得ない労働者に対する対処策を考慮しましょう。
3)3月度より協会けんぽの健康保険料・介護保険料が改定になっています。
参考)令和2年度 標準報酬月額表
今月の気づき
新型肺炎が予想していたよりも拡大し、戸惑っています。
時差出勤やテレワークについてのご相談もありますが
症状とされるされる37.5℃以上の発熱があったときの
出勤停止を命じることができるかどうかのご相談が
何件かありました。
人により平熱が異なりますので、37.5℃で通常通りの
労務の提供ができるのかどうかがひとつの判断基準になります。
ただし、今回は、国を挙げて感染拡大を防ぐ取組をしていることもあり
一定以上の発熱がある場合は、自宅で様子を見てもらうように促すのが
ベターであるように考えます。
ひとりひとりの健康管理に対する高い意識がもとめられます。
出勤前の検温や調子が悪いと感じたら早めに休息を取ることが必要です。
食事や睡眠をきちんととることなど、生活リズムを整えることも求められます。
一日も早く、今の事態が終息に向かうことを強く願っています。
(2020年03月発行)