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自然災害時の休業への対処法
みなさん、こんにちは。
社労士の井寄です。
今年は自然災害の当たり年ですね。
私が住む大阪には今年2度目の大きな台風がやってきました。
ここ最近は、事前に公共交通機関の運転見合わせが決まるため
営業日であったとしてもお休みとされた会社(や店舗)が
多かったのではないでしょうか。
予約制で、利用客の対応をしているような事業形態の場合
予約の振替が必要になります。
通常の営業日で振替ができる場合はよいですが
そうでない場合は、本来の休業日を営業日として
今回の休業と振り替えるという対応をされているケースもあります。
その場合、元々の休業日に従業員さんが既に予定を入れていた場合
どの程度まで出勤命令を下すことができるのでしょうか。
多くの会社は就業規則に勤務日の振り替えについて
記載をしているかと思います。
「会社は休日と出勤日を振り替えることができる」という
記載です。
振り替えることによって、特定の週について週40時間を超えて労働することに
なる場合は、超えた時間について0.25の割増賃金の支払いが必要になります。
これらの要件をクリアした場合、業務命令として休日と出勤日の振替は
可能ですが、個人的な事情でどうしても振り替えた出勤日に勤務が
できない場合は、有給を取得してもらうほかありません。
有給については、会社には時季変更権がありますので
事業の運営上、どうしても当該従業員に出勤してもらう必要がある場合は
他の日に有給をを取ってほしいと言うことはできますが
よほどの事情がない限りは、有給取得の申し出は断れないとお考えください。
(取得の理由によって、可否を決めることはできません)
災害は予期せぬ出来事です。
利用客の利便を考えることも大事ですが
例えば、そもそもの営業日の時間を延長して
予約の振替えに対応するなど
従業員に協力をしてもらいやすい方法も考えてみましょう。
なお、営業日であった台風の日を休業とした場合の賃金の支払いですが
会社の就業規則に「災害休暇」など特別休暇(有給)の規定がある場合は
規則に従い、賃金の支払いが発生します。
月給者については、規定の有無に関わらず、この対応としている
会社が多いようです。
しかし、特に規定がない場合は、ノーワークノーペイの原則に従い
その日の分の給料は支払わないとする会社もあるようです。
(アルバイトや日給者はほとんどその対応となっています)
今年の場合、1か月のうち2回も台風がやってくることになり
営業日減や、予約のキャンセルによる売上げ減が深刻な状況です。
会社としては対応策を考えないといけないですね。
10月給与の注意事項
1)9月分保険料より、社会保険(厚生年金保険料・健康保険料)の標準報酬月額が算定基礎届により、新等級に変更になっています。給与計算の際に、新標準報酬月額となっているかどうかの確認をしましょう。
2)10月1日より最低賃金が改定になっております。時間給者のみならず、月給者についても最低賃金割れになっていないかどうかの確認をしましょう。
■厚生労働省:平成30年度都道府県別最低賃金
今月の気づき
9月は、大阪は2度も台風に見舞われ、公共交通機関の運転見合わせが予想されたため
事務所の近くのビジネスホテルを予約して、業務の対応にあたりました。
8月からずっと大学の論文を書いており、大量の書籍や資料をベースに書き進めないといけないため
自宅にパソコンだけ持ち帰って作業ができなかったからです。
これだけ、時間とお金もかけて、執筆をしていますが、冷静に考えると
論文自体は直接的にはお金を生み出しません。
また自分的にはかなり一所懸命やってるんですが
研究者の視点で考えると、法学の基礎知識の欠落のみならず
論文の体裁どころか、見えているところ自体が違うんでしょうね。
研究者や法律の専門職の方からご意見をいただくたびに
いくらやっても、至らない自分に気づいて、本当に落ち込みます。
おそらく、人って、誰かに厳しいことを言われることで傷つくのではなく
真摯に受け止めた結果、できない自分に気づき、自分に対して
失望して、心が傷つくのではないでしょうか。
他人は、どうしても嫌なら付き合わなければよいことですが
自分は、嫌になってもずっとつきあい続けなければいけません。
自分を嫌いになるのは、耐え難いことですね。
論文では、職場のハラスメントについても論究しています。
ハラスメントを受けてメンタルを病んでしまう人は
他人の言動によって自己否定を繰り返されることで
自分自身も自分のことが嫌いになってしまい辛い気持ちになるのかなと
ふと考えました。
私は社労士としての立場で論文を書くので
論文を書くことで、紛争が生じないような
職場環境となるよう、働く人(使用者も労働者も)の
気づきとなるような内容としたいと考えています。
引き続きがんばります。
(2018年10月発行)