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いより通信 vol.130 (2015年12月号)

給料計算のルールを明確にしましょう

みなさん、こんにちは。
2015年も最後の1か月になりました。
毎年ですが年末になると気ぜわしいですね。

さて、今月は意外と見落としがちな
給与計算の基本ルールについて確認をしてきたいと思います。

給与計算ソフトを利用していても
例えば、傷病休職や産休・育休などの休職に入る際の
日割り計算のルールや残業代の単価計算の際の数値など
各社で設定をしなければならない項目があります。
 

普段、休まずに出勤しているときにはあまり問題にはならないのですが
休職等で、傷病手当金や出産手当金、労災の休業補償給付などを申請する際に
日割り計算がおかしなことになっていると給付金が支給調整されたりしてしまいます。

以下の項目につき、自社の給与計算のルールを確認してみてくださいね。

1)日割り計算のルールを統一しましょう。

賃金計算期間の途中で入社や退職をする場合、さらに休職をしたり
復職をする場合のの月給者の日割り計算ですが、所定就労日ベースでの計算と
暦日での計算があります。

<所定就労日ベース>

月給額(注)×実労働日/所定就労日

<暦日ベース>

月給額(注)×就労した暦日(休日含む)/給与計算期間の暦日数


例えば、末締めの会社で11月15日退職の社員がいた場合
<所定就労日ベース>であれば、実際に就労した日数/11月の所定就労日数(もしくは1か月あたり平均就労日数)
<暦日ベース>であれば、15/30 を月給額に計算をして計算をするという形です。

この際、(注)としている月給額についてもルールを決めておきましょう。
基本給は通常日割り計算の対象となりますが、手当類については各社ルールが様々です。
家族手当や住宅手当の他、皆勤手当や固定残業代が支払われいるときの取扱い
さらには通勤手当のの取扱いもルールに決めておきましょう。
(手当類の取扱いにつき日割りの対象になるのかどうか賃金規定に入れておくことをお勧めします)

なお、日割り計算になった場合であっても手当類が全額支払われている場合は
傷病手当金等の計算の際には一部給料の支払いがあったとみなされ
支給調整がなされてしまいます。


2)残業代単価の計算の際のルールを確認しておきましょう

チェックポイントは以下の2点です。

① 残業代計算の際に含むべき手当類がすべて含まれているか

家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金のみ
計算に含めなくともよいことになっています。
その他の手当については、すべて基礎賃金に含めて計算をする必要があります。

例えば「業務手当」等を固定残業代として支払いたい場合は
その旨を就業規則(賃金規程)に明記した上で
個人ごとに、何時間分の固定残業代になるのかを明示するようにしましょう。


②残業代の単価計算をする際の1か月平均の所定労働時間数は正しいか

残業代単価を計算する際には①で確認をした基礎賃金を1か月平均所定労働時間で
割って1時間あたりの単価を計算する必要があります。

よくある事例としては、年間休日数が増えている(所定労働日数が減っている)にも
関わらず、従前の所定労働日数のままで計算をしているケースです。

まれに、法定労働時間の上限での計算となる1か月あたり173時間で計算をしている会社もありますが
あくまでも単価計算の際には自社の所定労働時間をベースに計算をする必要があります。

さらに契約社員等で、所定労働時間が他の社員と異なる契約となっている場合も
要注意です。個々の所定労働時間に基づいて計算をするようにしてください。


今月は超実務的なお話になりましたが、給料の支払いは労働契約において会社側の債務の根幹的なものです。
従業員との間の信頼関係のベースとなる部分ですので、ルールをきちんと整備して
「従業員ごとに取扱いが異なっている」というようなことがないよう注意したいですね。
給与計算のキモについては拙著もごさいますので、よろしければご参考になさってください。
『「残業ゼロ!ミスゼロ!」の給与計算事務』(かんき出版)

12月給与の注意事項

1)年末調整をおこないましょう。

今年度の注意事項はコチラ>>国税庁HP:「平成27年分の年末調整における留意事項等」

2)賞与の支払いをした場合は、「賞与支払い届」の提出をお忘れなく

3)従業員のマイナンバー取得および管理のフローの調整をおこないましょう
(マイナンバーの配布が遅れています)

今月の気づき

10月から大阪大学の聴講生となり丸2か月が経過しました。
月曜日と水曜日の一限に無遅刻無欠席で通っております。
講義の日は朝5時半起きで子ども達のお弁当をつくり
大急ぎで子どもに朝ご飯を食べさせたあと、子どもより先に家を出ています。
大学生の娘が協力をしてくれて、洗濯物は彼女が干してくれています。

受講しているのは「労働法」と「社会保障法」です。
もちろん内容自体は知っていることが大半ですが
その制度ができた法的意義であるとか背景など
知っているからこそ理解が深まることばかりで
今まで点だった知識が面となり、そして労働法や
社会保障法の世界だけではなく、他のこととも
どんどんつながっていく感じがとても気持ちいいです。

春からは大阪大学大学院に入って研究を再開する予定にしています。
ご契約をいただいているお客様にはご迷惑をお掛けすることになるので
先月みなさまにお手紙を送らせていただいたところ
「先生、本気で勉強するねんな」とお客様に言われました。

今月のいより通信で書かせていただいた「正しい給与計算」など
枝葉の部分でお客様のお役に立つことも重要だと思いますが
もっともっと広い視点で、自分の知識・存在で
より世のためとなれるよう精進したいと考えています。
それが私の生きる道なので。

2年ぶりとなる新刊の執筆も決まりました。
大学院に復帰するまでに大急ぎで本に仕上げたいと思います。
桜の咲く頃に本になるようがんばります!

 

(2015年12月発行)

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