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社員に有給休暇を取らせてますか?
みなさん、こんにちは。社労士の井寄です。蝉が元気に鳴いています。夏まっさかりですね。暑い季節は体力を消耗します。水分補給をしっかりして、 「食べる」「寝る」が基本です。社会人として「健康管理」をするのは当然のことです。特にこの季節は意識的に健康管理をしていきたいですね。
さて、先日、初めてお勤めの人(すなわちサラリーマン)向けに、「職場での労働条件に関する疑問に答えます」というテーマでお話をする機会がありま した。参加者の質問に答える企画だったのですが、有休取得に関する質問がやはり出てきました。労働基準監督署で相談員をしているときも有休に関する相談が かなり多かったです。
有給休暇を取りにくい会社というのは、働く人にとっては「ブラック企業」としてインプットされます。働く人達は自分の権利についてはすごく敏感で す。有休は取得できて当たり前と考えている人にとっては、有休が思うように取れないことで、会社に対する小さな不満が蓄積し、それが退職を決意する引き金 になったり、退職時に有休をまとめて取得するだけではなく、未払い残業代も請求してくるという行為にまでつながることがあります。
「小さな会社なので有休を取られると、仕事が回らない」とおっしゃる経営者もいますが、本来は「有休は取得されるもの」という前提で人員配置を行ったり、社員間でお互いの仕事をフォローできる仕組みをつくっておくべきです。
有休取得を積極的に促したとしても全員がフルで消化するとは限りません。「会社に来て仕事をするのが楽しい」と社員に思ってもらえるような仕事を与 えること、そして誰が休んでも、周りでフォローしあえる職場風土を築くことで、必要以上の有休を取る社員はいなくなります。「いつでも有休を取ることがで きる」という安心感を社員に与えることが大切なのです。
頻繁に起こる労務トラブルに頭を悩ませていたある中小企業の経営者が言っていたことは「有休を取れるようにし、残業代をきちんと支払うようにしたら それからトラブルがピタっとなくなりました。離職率が激減したのと、突然辞める社員が減ったので、作業効率が上がり、結果的に少ない人数で業務を回せるよ うになり、コストが削減できました」ということでした。
従業員の不満の芽を摘むことが、会社にとっても大きなプラスになります。有休だけではなく、きちんと休みが取れる会社を目指してみませんか?
8月給与の注意事項
- 夏季賞与の支払いがある場合は、賞与支払届の提出が必要です
今月の気づき
先日『下町ロケット』 (講談社:池井戸潤)を読みました。下町の中小企業が、大口取引先からの業務委託解除を受けたり、ライバル会社からの特許権侵害訴訟を起こされたりして資 金繰りが悪化。若手従業員の離反など、色々乗り越えながらも、「自分の会社は何をする会社なのか、会社らしさはなにか」を経営者が常に考え、色々な困難を 社員と乗り切るうちに、社員は自社に誇りを持つようになり、最後は皆で一体になって、偉業を成し遂げるというストーリーです。
製造業のお客様の経営者の顔を思い浮かべながら読み進めました。400ページの大作なのですが、仕事帰りの電車で読み始め、晩御飯を食べながら読み、お風呂に入る時間を遅らせて一気に読みきりました。
読み終えたあと、思わずガッツポーズ。その会社の顧問社労士になった気持ちで、主人公の社長に対して「よかったですね!」と涙を流しながら熱く語りかけている自分がいました。
作家の池井戸さんは、スタートはビジネス書の著者だったらしく、日本実業出版社さんでも書いておられたそうです。「そっか!私も将来は直木賞作家になれるかも・・」という夢を与えてくれた本でもありました(笑)
めちゃめちゃおススメですのでぜひぜひお読みになってください。
(2011年08月発行)