いより通信:タイムリーな社会保険情報・助成金情報労務相談事例などを発信中!

いより通信 vol.69 (2010年11月号)

みずから考えられる社員を育てる

東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員』(香川晋平著:経済界)という会計士さんが書いた本が売れています。自分のどんな行動が利益を生み、どんな行動が会社にとって無駄なのか判断しながら仕事ができる社員が黒字社員。判断ができずにただ仕事をしている社員が赤字社員とバッサリ書いた内容です。

私も次の本は給料の本を考えてるので、現在経営者にアンケートをお願いし、10名近くの経営者に面談をお願いしました。その結果わかったことは、「社員に給料を支払いたくない、と考えている経営者はいない」ということです。

労働契約とはそもそも「労務の提供に対して賃金を支払う」という契約です。経営をするためには人件費は必須だということは経営者のみなさんも百も承知のこと。むしろ、給料をもっと払ってもいいので、給料に見合う仕事をして欲しい、と考えているのが本音のようです。

バカでも年収1千万円』(伊藤喜之著:ダイヤモンド社)。こちらは、がむしゃらに働いて年収を1千万円にした「バカリーマン(本人曰く)」が書いた本。この本で学べることは、雇われ人でありながら、経営者感覚を持ち、自分の意志と行動で年収を上げるという意識のある社員をどれだけ育てることができるかが、会社の明暗を分けるということです。

技術や道具がどんどん進化し、単純な制作物には、人の能力の優劣は反映されず、これらのものは人件費の安い海外生産にどんどんシフトをしています。今、国内で生き残るために必要なのは、人の知恵や能力次第でアウトプットが変わるサービスの部分です。個々が持つ知恵と能力を最大限発揮してもらう仕組みと土壌を会社がつくりだし、自ら考えることができる社員を育てることが会社に求められているのです。

会社が利益を上げる仕組みを社員1人1人が理解し、それを行動に落とし込むこと。そして「これだけ成果を上げているんだからもっと給料をあげてほしい」と言ってくるような企業風土をつくりださなければならないのです。

そのためには、まずは経営者が自社のビジネスモデルをしっかり構築し、社員1人1人(もしくは部門ごとの)役割分担を明確にし、何をすればどうなるのか、会社は何をめざして経営しているのか、将来図を社員にはっきりと示すべきです。

経営者が迷走しているのに、社員に「がんばれ、とにかく稼いでこい」とハッパをかけているだけでは、社員は動きようがありません。

理念の共有のためには、経営理念を行動規範やクレドに落とし込むこと、何をすればどれだけ、の意識を根付かせるためには、月例の定例会議で経営数値の公開、目標管理の徹底などが考えられるでしょう。

「言わなくてもオレの背中を見てついてこい」の旧式経営では、誰もついてきません。給料は会社からもらっているのではなく、外から稼いでくるという意識を持った社員を1人でも多く育てていきましょう。

そのためには経営者も意識改革が必要です。考える社員の集団にする仕組み作りについては当職にご相談ください。

11月給与の注意事項

  1. 先月もお知らせしましたが10月から最低賃金が変更になっています。発行年月日以降は新最低賃金の適用となりますのでご注意下さい。
    ◎厚生労働省 地域別最低賃金
    http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-02.htm
  2. 年末調整の準備をしましょう。年度内の扶養家族の変動を確認し、生命保険からの控除証明書などの提出をしてもらいましょう。扶養家族の変動がある場合、健康保険の扶養の変更の有無も併せて確認しましょう

今月の気づき

先日とてもうれしいことがありました。1年前に某商工会議所でセミナーをしたときに参加された会社の経営者さんからお電話をいただき、ぜひ契約をお願いしたいという内容でした。

なぜ契約までに1年を要したかというと、セミナー終了後に名刺交換をした際に、就業規則の見直しの打診をいただいたのですが、よくよくお話しを伺うと顧問の社労士さんがいらっしゃるとのことでしたので、「まずはそちらの先生に」ということで話が終わっていたのです。

社長としては、先代からのおつきあいもあり、顧問社労士の契約を解除するわけにもいかず、かといって相当ご高齢だったようで、「就業規則のようなややこしいものはかなわん」という反応だったそうです。ここにきて、その社労士さんが、現役を引退されるということになり、私のところにお電話をくださったのです。

聞くと就業規則は1年前のままで、ずっとチャンスを待っていたということでした。本当にありがたいことです。

「この人に仕事を頼みたい」と思われる自分になることが、お客様との新規契約を継続的に取り続け、契約をいただいているお客様にもリピートし続けていただくポイントだと思っています。

そのためにはより仕入をきちんとして自分自身の付加価値を高めることとお客様の話をよく聞いて、お客様の生の声から本当のニーズを知り、結果として「この人に頼んでよかった」と思われる仕事を続けることしかないと思っています。

現在、仕事の紹介や講演依頼、執筆など、どんどんやってくるのは、非常にありがたいのですが、お客様へのサービスの質を低下させないために、受ける仕事をもっと絞ることを考えるべき時期にきたと感じています。

現在、手続き業務のみ(助成金申請含む)の単発の仕事はお断りしております。手続き業務及び助成金申請につきましては顧問契約をいただいているお客様のみの対応とさせていただいております。
就業規則の見直し等につきましても、2月以降の受注となります。(4月改訂がギリギリのタイミングです)新規のお客様でご相談がある場合は、早い目にお申し付けいただきますと幸いです。

(2010年11月発行)

お問い合わせフォームはこちら